2025年2月10日・11日に、ドイツ・ミュンヘンでORCID Consortia Lead Meetingが開催されました。日本からは、高松邦彦教授・松本清准教授(東京科学大学)、それに田辺浩介(物質・材料研究機構)が参加しました。
ORCID Consortia Lead Meetingは、世界各国のORCIDコンソーシアムの担当者が集まり、ORCIDの運営や利活用についての意見交換を行うミーティングです。今回は15(ブラジル、カナダ、チェコ、ドイツ、デンマーク、フィンランド、アイルランド、日本、ラテンアメリカ、ノルウェー、イギリス、アメリカ政府機関、アメリカ研究機関)のORCIDコンソーシアムから参加があり、それぞれのコンソーシアムの紹介と活動報告がありました(日本コンソーシアムの発表資料を公開しています)。
各コンソーシアムの紹介や活動報告を聞いていると、設立母体もORCIDの活用方法も実に多様だと感じました。各大学の研究情報システムでの利活用が盛んなコンソーシアムもあれば、国全体の研究者データベースでの利活用を行っているコンソーシアムもあります。一方で、小規模な研究機関にとっての費用負担の重さや、新しくコンソーシアムに参加した機関がORCIDの実運用を行えるようになるまでのサポートをどのように行っていくかは、どのコンソーシアムも課題となっているようでした。また、カナダやノルウェーをはじめ、研究助成機関がORCIDに関わりを持ち始めたという報告が複数あり、ORCIDなどのPIDの利活用が研究サイクルの全般にわたって行われるようになってきたことを強く感じました。
ORCID日本コンソーシアムでは、今後も世界各国のコンソーシアムやORCID運営スタッフと交流を持ちながら、世界的な学術基盤の維持と発展、その中での日本の存在感の向上に貢献していきたいと思います。
参加者の感想
ORCIDは生物学系では論文投稿時にほぼ必須となっており、私自身もすべての研究者が持っているものだと思い込んでいましたが、今回のワークショップで学問分野によって普及度が大きく異なることを初めて認識しました。分野間の研究者識別子の活用状況の差異を知ることで、分野横断的な研究環境整備における課題がより明確になりました。(高松邦彦)



(写真: 田辺浩介、松本清)